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家庭教師について

中学受験に関する一考察その3(これから教える同業者の方々へ)

目次

前回のおさらいと今回の目的

こんにちは、Fです。

地方都市から「そこそこ大都市と思われる場所」に
生活の拠点を移した私が、中学受験対策で接することとなった
3人のお子さんについてエピソードを話したのが前回。

今回はもう少し掘り下げて、これらのエピソードから
「これから小学生を教える同業者の先生」にとって
役立つ要素がないかどうか、検証していきたいと思います。

一応、以下記載する内容は、私Fの個人的見解であることを
申し添えておきます。

そもそも小学生は集中して勉強出来るのか

小学生の集中力を舐めてはいけません。
ちょっと集中してきたな、と思ったら、すぐに切れてしまう
のです。

特に小学生男子は要注意です。

集中力に波がありすぎる小学生男子

私が小学生を教えるようになってまずぶち当たった壁は、
「(特に男子)小学生は集中力に波がありすぎる」という
事です。

「勉強を始めましょう」と言って、すぐに始められる小学生は、
(女子も含めて)本来なかなかいないものです。

しかもちょっと乗ってきて「あっ、このまま行けそうだな」と
思うと、すぐに電池が切れたようになってしまう。

もちろん、様々な小学生がいるので、一概に全ての小学生が
集中力に波があるとは言えません。

しかしながら、特に男子小学生は、その特性をしっかり把握して
導くようにしないと、中高生の指導のみやり慣れてきた私のように、
「勝手が違う」と軽い絶望感を味わうことになりかねません。

まず前提として、普通家庭教師やマンツーマン塾指導の場合、
指導時間が90分ないし120分あるわけですが、その全てを
「勉強させる」「話を聞いて理解させる」に費やすことはほぼ
不可能と思って頂いて構いません。

集中力は、もっていいとこ合計30分。ちょっと疲れてきたな、と
思ったら、途中休憩を数回はさむ。
休憩時間には好きなことをさせる。
場合によっては、一緒にゲームをしてもいい位です。
共通の話題ができますからね。

マンツーマン指導において、コミュニケーションは絶対に
無視することの出来ない要素です。

この視点が、最後まで指導時間を全うする上で欠かせない。

全く休憩を取らないという事はあり得ないと思いますが、
途中1回の休憩では足りなくなることが多々あります。

まずはこの事をしっかり肝に銘じておく必要があると思います。

特に小学生男子は飽きっぽい

もう一つ、小学生男子について留意しておかなければならないのは
「飽きっぽい」という事です。

本番から逆算したり、塾と併用していたりすると、どうしても
「大人の都合で考えたノルマ」に気を取られてしまいます。

「今日は、ここまで終わらせなければならない」という
気持ちで指導に臨むわけですが…。

しかしそこは男子小学生。我々の思惑を簡単に裏切ってくれます。

同じ単元なら、下手をするとB5のプリント1枚で飽きてしまう。

小学生を担当し慣れていない家庭教師は、「自分には小学生を
コントロールする力がないのだろうか」と、自己嫌悪に陥って
しまうことすらあります。
(私がそうでした)

しかし、自己嫌悪に陥る必要など、ございません。

彼らは、そういう人種なのです。

飽きっぽいという事は、逆に捉えれば好奇心が旺盛である証拠。

しかも、小学校高学年という時期は、成長が速いため、指導に
慣れてくれば、一つの単元に集中できる時間が長くなってくる
事もあり得ます。

とにかく、現状で担当しているお子さんが飽きっぽいのであれば、
それに合わせてあげるのが実は一番良いです。

例えば、120分の指導であれば、ノルマの単元に割ける時間は
良いとこ60分。

しかもその60分は、さらに15分ぐらいずつにコマ切れにし、
間に様々なクッションを挟む。

算数であれば、お子さんがが簡単に解けそうな計算問題を、
間あいだに挟めるように、常にスタンバイ。
100マス計算などは、良いかも知れません。

国語であれば、苦にならないお子さんならば、簡単な読解問題か
漢字の読み書きをスタンバイしておく。
(後述しますが、簡単でも「読解問題がイヤ」というお子さんが
最近増えているので、簡単な読解問題がクッションになり得ない
場合もございます。)

それでもダメなら、一旦勉強そのものから離れて雑談しても
良いのです。

小学生を担当するのであれば、そのくらい「どっしりと構えて
気長に向き合う」ことが大事だなあと、身をもって思い知らされ
ました。

「指導開始」と共に勉強を始められない小学生

更にこちらの思い通りにいかないのが、「スタートと共に
勉強を始められる小学生は少数である」という点です。

おしゃべり好きな小学生女子

例えば高学年の小学生女子は、基本「おしゃべり」です。
一通り自分語りを始めるケースが多いわけですが…。
(最近は、男子もかなり「おしゃべり」が増えていますね)

こういう場合、ノルマの邪魔になるのであれば、途中でおしゃべりを
遮ってしまえばよいのでしょうか。

結論から言えば、遮らない方が良い、と言うか遮っては
いけません。

彼女達(場合によっては彼ら)は、とにかく話を聞いてほしいのです。
一通りしっかり聞いてあげれば、話す内容が無くなったところで
しっかりやってくれます。
(気持ちが満たされ、気分が乗ってくるんですよね)

そして話を聞いてあげる事は、実は表現力の養成に欠かせません。
実は、下手に「勉強」の名のもとに作文を書かせたり、「文章で答える
問題」をひたすらやるよりも、立派に表現力の養成につながることが
分かっています。

(だから、「親は子の話をきちんときいてあげなさい」と
言われるのですね。先生も一緒です。)

おしゃべりな子に関しては、表現力の養成と思って、まずはどっしり
構えてお話を聞いてあげましょう。

「気分が乗らないとやらない」小学生男子

「気分が乗らないとやらない」あるいは「やっても進まない」ケースが
多いのが、小学生男子かな、と思います。

このような場合、よく我々がやってしまいがちなのが「最初から
難しい内容を始める」という事ではないでしょうか。

あるお母さんは、「最初に(本人にとって)苦手なものをやらせて、
好きな内容はご褒美として最後にやらせるのが良いと思っていました」
ということを仰っていました。

このような大人の論理は、彼ら(場合によっては彼女ら)には、通用
しません。
なぜなら、彼らは「気分が乗らないと勉強できない」からです。

最初に嫌いなものを片付けてしまおうと頑張らせても、気分が
乗らなければ勉強する気にならないし、いざ始めたとしても
「全然集中できず、理解しない、覚えない」という状況になるのは
目に見えています。

そんな小学生男子には、「最初にやりやすいもの、分かるもの、
解けるもの」をやってもらい、気分を上げるのが良いのではない
でしょうか。

100マス計算を競争し、敢えて子供の方が勝つようにシナリオ作り
しておくでも良いでしょう。

気分屋な彼らは、短時間であっても乗ってしまえば、高い壁も
難なく超えてしまうようなポテンシャルを秘めていることが
多いです。

一度試してみる価値は、あるのではないかと思います。

今回のまとめ

私の経験から、または中学受験のプロから聞いた話を書いてみました。

あくまでこれは個人的見解なので、賛否両論出てきやすいテーマ
なのではないかと思います。

一個人の見解として、気軽に受け止めていただければ幸いです。

しかし小学生の指導は、少なくとも私には難しいです。
抽象的な説明の仕方は通用しない。成長途上であるためか、
気分の浮き沈みには常に気を遣わなければならないし。

でも、それが楽しい、醍醐味であるという先生もいらっしゃる
でしょう。

そのような方は、小学生専門を名乗っても良いと思います。
中高一貫校は、今後もしかしたら地方でも流行っていく可能性を
秘めているような気がするのです。

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